仏壇・仏具掃除・クリーニング方法
「仏壇を触るのが怖い!」という方が意外と多いのですが、仏壇の中には自分たちを守ってくださるご本尊や自分たちのご先祖様が祀られています。
怖がらずに積極的に仏具に触って、お掃除してあげましょう。
仏壇や仏具が怖いのは、触り慣れてないからです。毎日どんどん触ってあげることで平気になってくることでしょう。自分たちの仏壇じゃないですか。
多少傷ついたり、不慣れなお掃除だとしても、ご先祖様は手付かずな状態よりも不慣れでも一生懸命にお掃除してくれる子孫の行為にこそ喜んでくれるはずです。
毎日のお掃除は大変かもしれませんが、少しでも清潔に努めて、すがすがしくお参りできるようにしたいものです。
まずは仏具を全部外に出してみる
掃除の基本は、あるものを別の場所に移して、それからきれいに掃除します。これは仏壇でも同じことです。
お部屋を掃除するときに、まず机や椅子を移動させて、それからその場をきれいにしますよね。
仏具を触ることを恐れすぎて、毛ばたきではたくだけではお掃除にはなりません。まずは仏具をすべて外に出しましょう。
もとに戻せるか心配だ、という方は、予めスマートフォンやデジタルカメラで仏壇の内部を撮影しておきましょう。多少仏具の配置が異なったって、罰なんてあたりません。
唐木仏壇・家具調のお手入れ方法
唐木仏壇や家具調仏壇は、そのほとんどが木製です(まれに木製でない家具調仏壇もありますが・・・)。表面は塗装で仕上げてありますが、そのほとんどがウレタン塗装でしょう。他にもラッカー塗装などもあります。
ウレタン塗装とは、木材をウレタン樹脂でコーティングすることです。湿気の出入りを塞ぐことで木材の伸縮を抑え、表面の傷などを保護します。
さて、形状こそ仏壇ですが、この工法や仕上げの方法は一般的な木製家具や什器と同じなのです。木製の仏壇も木製の家具もそう大差はありません。それくらいに考えたら気が楽になるのではないでしょうか。
ですから、あまり仏壇だと特別に考えずにお掃除してみましょう。
お掃除の方法は、まず、毛はたきなどで埃を払い、柔らかい布で拭きとる程度で構いません。しつこい汚れがある場合は固く絞った水拭きで少々強くこすっても大した傷にはならないでしょう。ただ、できれば柔らかい素材の布を使用しましょう。
そして水拭きのあとは必ず乾拭きで水気が残らないように拭き取りましょう。水気が心材に入り込んで膨張したり、かびの原因にもなりかねません。最後は必ず乾拭きを忘れないことを心がけましょう。
金仏壇のお手入れ方法
金仏壇は木製の仏壇に比べて、扱いが少々厄介です。金仏壇は、主に、
- ①金の部分
- ②塗り(黒や朱や溜など)の部分
- ③金具の部分
・・・の3つに分かれています。
①金の部分
金箔や金粉が施されています。これらはこすってしまうとすぐに金が剥がれてしまうのでほとんど触ることができません。毛ばたきで埃を払う程度にしておきましょう。
②塗りの部分
黒や朱や溜などの顔料で色をつけた漆が施されています。ただ最近は漆が希少なため、カシュ-漆やウレタンなどで塗装されていることが多いです。
塗りの部分は柔らかい布であれば拭き取っても構いません。表面に傷がつかないように気をつけましょう。しつこい汚れがある場合には固く絞った水拭きをしても構いませんが、かならず乾拭きで水気を残さないようにしましょう。
③金具の部分
真鍮やアルミ製、あるいはメッキ加工されたものが取り付けられています。乾拭き筆で払うなどなどで拭き取りましょう。
仏具のお掃除
仏壇を掃除するときにはいったん仏壇の中の仏具をすべて外に出すことをおすすめしましたが、せっかく外に出した仏具です。
こちらもきれいにお掃除してさしあげましょう。
塗り物の仏具
塗り物の仏具にはどんなものがあるでしょうか。
高坏(お供え物を乗せる足のついた仏具)、見台(過去帳を乗せる台)、りん台(おりんを乗せる台)、仏器台(ごはんの器を乗せる台)などさまざまです。
塗り物の製品は、分かりやすく言えば漆器と同じと思えばよいでしょう。たとえばご自宅で使う塗りのお盆や、茶碗など、そういうものと同じような感覚でお掃除をされれば大丈夫です。
上質なものでは木製品ですが、最近はプラスチックに塗装をかけて色付けした仏具が一般化しています。やわらかい布で拭き取ったり、場合によっては固く絞った布の水拭きをされても構いません。
浄土真宗で多いのは、塗り物で、さらに金をあしらった仏具です。具体的には上卓(仏飯器や華鋲を置く専用の台)や前卓(五具足や三具足を乗せる専用の台)、供花(おもちを供えるための仏具)、和讃箱や御文章箱(経本を納める紋入りの塗り物の箱)、見台(過去帳を載せる台)などです。金の部分の取り扱いには十分に気をつけましょう。
金属製の仏具
金属製の仏具にはどんなものがあるでしょうか。
灯篭(天井から吊るして火袋の中であかりを灯す仏具)、瓔珞(天井や屋根から吊るすきらきらとした荘厳具)、輪灯(おもに浄土真宗で用いる照明具で笠と吊具と皿で構成された仏具。天井から吊るして皿の部分であかりを灯す)、仏飯器(ごはんを盛る器)、五具足(花立、火立、香炉)、りんなどがあります。
「お磨き」という言葉があります。金属製の仏具を磨いてきれいにすることが徳を積むことと信じられ、浄土真宗門徒は昔からこれらを寺院や自宅で行ってきました。
ところが、磨くことのできる仏具は限られています。
真鍮製の地金で作られた仏具のみです。
これの見分けは一般の方々では難しいので、専門の仏具店に相談しましょう。
金属製の仏具は真鍮の鋳物がほとんどなのですが(中にはアルミ製のものなどもある)、最近は汚れや変色などの劣化を防ぐために、金メッキ加工を施したものが多く、また、黒や赤っぽい色がついたものは漆を焼きつけて着色しています。
これらを安易に磨いてしまいますと、メッキや着色が取れてしまいます。ですから、柔らかい布で拭きとる程度にしておきましょう。
陶器やガラス製の仏具
陶器やガラスは特別気を配ることありません。
普段、陶器やガラス製のものをきれいにするのと同じ感覚でお掃除をしてあげればよいでしょう。
香炉の灰
香炉の灰は半永久的に増え続けます。お線香が燃えると灰になるからです。
灰が香炉に溜まったらどんどん捨てていきましょう。香炉の7から8割ほど灰がたまっていれば十分です。
香炉の灰は、中にたまった線香の燃えカスを取り除いてあげて、かきまぜましょう。そうすることで中に空気が入りこんでお線香が燃えやすくなります。
香炉に溜まった線香の燃えカスを濾す商品もありますが、ザルとボウルがあればだれでも簡単にできます。
受け皿としてのボウルを用意して、ザルの上に香炉の中の灰をすべて出します。そしてザルをふるいましょう。燃えカスがザルの上に残ってきれいな灰だけがしたのボウルにおちていきます。
週に1回、月に1回でもこれらの方法で香炉をきれいにして差し上げるとよいでしょう。