納骨式の時期
納骨のタイミングは実にさまざま
現在でこそ、遺体の処理方法は火葬だと思われますが、一昔前までは、火葬はむしろマイノリティの葬法で、むしろ主流は土葬でした。
自宅で葬儀をして、葬祭場まで葬列を組み、そして土葬として埋葬しました。この葬祭場が、火葬をする地域であれば火葬場で、土葬をする地域では墓地だったわけです。ですから、昔の人たちは、葬儀当日に埋葬したと言えます。
もっと大昔、古代では「もがり」という葬法があり、喪屋の中で遺体と遺族が長期間ともに過ごすというものです。この場合、埋葬の期間は死後数カ月から1年以上先ということもあったようです。納骨の時期も、同じ日本でも実にさまざまです。
現在の日本の火葬率は99.9%
さて、同じ日本の中でも、もがり、土葬、風葬、火葬などさまざまな葬法が用いられていたわけですが、現在の日本では99.9%が火葬で遺体を処理します。これは世界の中でも最も高い普及率を誇っています。火葬は、公衆衛生の観点や供養の合理性から評価され、現在でも世界のさまざまな地域で火葬の普及率が増加しています。
とはいえ、ここまで火葬が普及したのもここ最近の話で、戦後間もない1950年の火葬率は54%でした。
現代でも火葬当日にお墓に納骨するケースは実際にあります。すでにお墓がある家では寺院の方針やその地域の特色で、当日埋葬することもあります。
また、そういった宗教儀礼的な理由からではなく、直葬したその日に永代供養施設に遺骨を預けるという例もよく見られます。
お墓がある家は四十九日に埋葬する
すでお墓を持っている家では、四十九日の忌明け法要の日に、納骨式を執り行うことが多いでしょう。自宅や寺院で四十九日法要を済ませ、それから墓地に移動して納骨式、という流れが一般的です。
葬儀後、遺骨は自宅の仮祭壇に安置するわけですが、四十九日は喪に服す期間の1つの区切りです。
四十九日は、かつてのインド仏教的にも中陰を終えて輪廻転生する期間と考えられていましたし、儒教や道教の影響の強い中国でも閻魔王の裁きを受ける日とされていますし、日本の民俗的にも、荒魂(死霊)として家族や共同体にとって畏怖されていた死者が浄化され、和魂(祖霊)となって恩寵の対象のご先祖様に仲間入りをする日です。
故人の性根は位牌となって仏壇に、故人の遺骨はお墓の中に埋葬して土に還して差し上げる。これで死者も成仏するのだと、お葬式から始まる凶事は一応の区切りをつけるわけです。
絶対に四十九日、というわけではない
お墓があるからと言って、必ず四十九日に納骨しなければならないというものではありません。大切な家族を亡くして、少しでも遺骨と一緒に家にいたいと願う人もいるでしょう。
1周忌や3回忌まで遺骨を置いておく方もいます。
お墓を建てるべきか、建てないべきか
お墓がない方は、お墓を建てるのか、あるいは納骨堂などの施設を利用するかなどを考えましょう。
遺骨をずっと家に置いておくのはよくない?
遺骨をいつまでに埋葬しなければならないという決まりは、法的にも、宗教的にもありません。
しかし、埋葬をすることで残された人たちの気持ちの区切りをつけてくれるという側面もあります。お葬式の時の悲しみをいつまで引きずったまま日常を迎えることになってしまいます。
古来から続く、遺骨の埋葬と、先祖供養としての年忌法要というシステムは、故人の霊の浄化と、遺族のグリーフケアという2つの役割を果たしてきました。ものすごく、合理的で、かつ行き届いたシステムではないでしょうか。
死別の悲しみや穢れは遺骨を埋葬することで断ち切りましょう。遺されたものはこうしたネガティブなものを乗り越えなければならないですし、定期的にやってくる年忌法要で故人を供養し、同時に遺族の悲しみも癒されていくわけです。
そういう意味では、一周忌や三回忌を目安に、建墓されたり、埋葬される方が多いようです。
また、ご自宅に置いておくにしても、最近では「手元供養」の仏具がたくさん出回っています。お葬式後の形のままではなく、それらを用いてもよいでしょう。
悲しみをを引きずらずに乗り越えてくれることを、きっと故人様も望んでいることでしょう。