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葬儀社の種類

葬儀社の種類

ひとことに「葬儀社」と言ってもみな一様ではありません。葬儀社が、どのようなルートで顧客を獲得するか、によって類型化することができます。

①地域に根差す葬儀専門業者

②JA・生協などの共同組合系

③冠婚葬祭互助会系

④大資本やインターネットなどによる新規参入系

また、規模も大小さまざまです。2009年に帝国データバンクだ調査した2190社の従業員数はこのようになります。

10人未満 1308件(59.7%)

10~50人未満 714件(32.6%)

50~100人未満 76件(3.5%)

100~300人未満 76件(3.5%)

300人以上 16件(0.7%)

(2011年:帝国データバンク『葬儀業者の経営実態調査』より)

こうみてみると、葬儀業界のほとんど(92.3%)が家族経営や中小零細企業であることが分かります。

それぞれの特徴について触れてみましょう。

①葬儀専門業者

葬儀専門業者と、わざわざ「専門」の語をあてがうのは、②のJA・生協系や③の冠婚葬祭互助会系は葬儀以外の事業も行っているからです。

地域に根差したといってもJAも互助会もその地元に根を下ろそうとしています。葬儀専門業者の主な顧客獲得は、地元の病院や警察や寺院への営業、そして町内会や商店街など地域に対しての地道な営業活動が主体だと思われます。

葬儀業界は許認可制ではないので、いつでも誰でも葬儀社を立ち上げることができます。実際に事業所が全国に何社あるかは不明で、5000~6000ほどではないかと言われています。

大手には大阪の公益社、東京のセレモアつくば、名古屋のティアなどがあります。

②JA・生協などの協同組合系

JAや各生協は、組合員向けに個別の葬儀専門窓口を設けています。ここではJAを例に見ていきましょう。

JAの主な事業内容は「農協3事業」です。

〇経済事業(農産物の販売・肥料や農薬や農業機械の供給など)

〇信用事業(JAバンク…貯金、貸付、証券業)

〇共済事業(JA共済…生命保険や損害保険の取り扱い

しかしこれ以外にもJAはさまざまな事業を展開しています。組合員向けの冠婚葬祭事業、病院経営、観光業、不動産、自動車ディーラーなど、「扱っていない事業は風俗業とパチンコ業」といわれるほどに多角的に事業を展開しています。

全ては組合員の出資から始まっている組織で、JAの事業は利益追求が目的ではないために、組合員にとっては安価にお葬式ができます。その上、豊富な資本力と土地があるためにJA系の葬儀会館は比較的立派な造りになっていることが多く、利用しない手はないでしょう。もちろん非組合員も利用できます。

そもそもは組合員のための葬儀として行われている事業ですが、収益性の高さから事業を独立させて株式会社化しているJA葬儀社もあります。

また、自社施工せずに提携の別の葬儀社に委託しているJAもありますので、その場合は費用面でのメリットが得られないかもしれません。十分に気をつけましょう。

③冠婚葬祭互助会系

俗に「互助会」と呼ばれている葬儀社です。

互助会とは「割賦販売法」に基づいた経済産業省の認可事業です。結婚式や葬儀の費用をあらかじめ積み立てしておくというシステムで、その積立金をもとに互助会企業は設備投資や運用をします。そのため、互助会系の葬儀会館は立派なものが多く、1970年代からの会館建設ラッシュや会館主体の葬儀化の要因でもあると思われます。

ちなみに、2011年の帝国データバンクの調査では、全国葬儀社の売上(2009年度)の上位6位までを互助会系の葬儀社が独占しています。

1位 ベルコ(本社地:兵庫県:「ベルコ」を展開)

2位 日本セレモニー(本社地:山口県。「典礼会館」を展開)

3位 愛知冠婚葬祭互助会(本社地:愛知県。「愛昇殿」を展開)

4位 大和生研(本社地:兵庫県。「117大和会館」を展開)

5位 アルファクラブ武蔵野(本社地:埼玉県。「さがみ典礼」を展開)

6位 メモリード(本社地:群馬。「メモリード」を展開)

互助会系葬儀社では、会員獲得営業が生命線です。そのために強引な勧誘や、入会時の説明と実際に施行時のサービス内容が乖離しているなどのトラブルもよく耳にします。

④大資本やインターネットなどによる新規参入系

90年代後半には鉄道会社の新規参入が起こり、2009年にはイオンが参入、さらには、「小さなお葬式」「みんなのお葬式」などのインターネットによる葬儀社紹介業の台頭など、葬儀業界は、群雄割拠の時代に突入しています。

ネットベンチャーの多くは、葬儀の受注を引き受けて、実際の施行を各エリアの提携葬儀社に委託するという形をとっています。ITには強くても葬儀施行のノウハウの習得は簡単なものではなく、また、受注件数の伸び悩みに苦しんでいる中小零細の葬儀社からすれば、多少のバックマージンがあるにせよ、インターネットで仕事を仲介してもらうことで恩恵を受けることができる、ネット受注業者と葬儀専門業者と、お互いの不足を相互に補っているのが現状でしょう。

ただし、「ネット受注の丸振り」となると中間搾取が増えることになり、さらには最近ではネット受注業者が価格帯を設定している上にマージンが発生するため、悲鳴を上げている葬儀専門業者があることも否めません。消費者、業者双方にとって、業界の健全性と言う意味ではまだまだ課題は多いでしょう。

葬儀社のIT化、そして自社施工へのこだわりという点では、東京にある葬儀社アーバンヒューネスの展開には目を見張るものがあります。実際に数多くのメディアに取り上げられ、ベンチャー系としては芯のある葬儀社ではないかと思われます。