お葬式のスタイル ~氾濫する○○葬~
元気なうちから自分たちのお葬式を考えるという方が増えている中、葬儀業界はさまざまな葬儀スタイルを提唱しています。
葬儀の多様化は遺族たる消費者のニーズにきめ細かく応えるという良い面だけでなく、どのようなスタイルを選択するべきなのかという混乱をも招いてしまいます。
巷に氾濫している「○○葬」の数々をここで整理しておきましょう。
一般的な葬儀の形式とは?
まず基準となるのが「一般葬」と呼ばれるスタイルです。
何が「一般」なのか。ポイントは以下の3点です。
①家族親族だけでなく、故人や遺族の関係者にも訃報を流し、
②通夜葬儀という2日間の日程で、
③仏教寺院に菩提を弔ってもらう
この従来ながらの葬儀スタイルを基準にして、そこからの差別化としてさまざまな「○○葬」が提唱されています。
【葬儀日程の違い】
- 一日葬…通夜を執り行わずに葬儀火葬のみを一日で執り行うスタイル。
- 直葬…通夜も葬儀も執り行わずに火葬だけを執り行うスタイル。
【会葬規模の違い】
- 家族葬…故人や遺族の関係者の弔問を断り、家族(あるいは親族も含む)だけで葬儀を執り行うスタイル。
- 大型葬…故人や遺族の関係者に幅広く訃報を流すスタイル。
【主催者の違い】
- 社葬・団体葬…遺族でなく法人が施主となる葬儀
- 密葬…本葬に先んじて遺族だけで執り行う葬儀
【宗教の違い】
- 神式葬…神道の葬儀
- キリスト教葬…キリスト教の葬儀
- 友人葬…創価学会の葬儀
- 無宗教葬…宗教儀式を排除した葬儀
【さまざまな無宗教葬】
- 音楽葬…音楽の演奏を主目的とした葬儀
- お別れ会…宗教儀式の要素を排除したパーティー形式の会。ホテルなどで開催されることが多い。
【焼骨の埋葬の違い】
- 海洋葬…海へ散骨するスタイル
- 樹木葬…樹木を墓碑として埋葬するスタイル
- ゼロ葬…遺骨も火葬場で処分してもらってお墓も仏壇も祀らないというスタイル
- 宇宙葬…宇宙空間への散骨
…などなどです。
家族葬・直葬・密葬の違い
よく混同されるのが家族葬と直葬と密葬で、これらを同じものとして理解されている方が多いようですが全て内容が異なります。
昨今の葬儀スタイルの主流になっている家族葬は読んで字のごとく、ご近所の方や仕事や趣味の関係の方々の弔問を断って家族だけで故人を見送る葬儀スタイルです。
直葬は、通夜葬儀という宗教儀式を省いて、火葬場での立ち合いだけ指します。もちろん火葬場に宗教者を招くことはできますが、最も簡素化したスタイルといえるでしょう。
しかし、この直葬に家族だけでなく知人や関係者など大勢の方が立ち会うというケースももちろんあります。
密葬は、その語感から家族葬や直葬と同義のように思われる方が多いですが、実は本葬に先立って家族親族だけで執り行う葬儀の事を指します。
社会的影響力の大きい方や著名の方の葬儀には数多くの方の参列が予想されるために、先に家族親族による密葬を執り行い、荼毘に付し、その後広く参列者を受け入れる本葬(社葬、お別れ会の場合もあり)を執り行います。
また、「一日葬の家族葬の音楽葬」というようなものももちろんあり得ます。
葬儀日程は二日にまたがず、家族だけを招いて、お寺様を呼ばずに故人様の好きだった音楽を流す葬儀にしよう、というご希望があったならば、まさにそうなるわけです。
まとめ
あらゆる葬儀社やマスコミが○○葬という言葉を作りだしてスタイルを多様化していますが、それらの言葉に惑わされることなく、「自分たちのお葬式にはこれくらいの人たちに訃報を流そう」「お葬式の日程や内容はこうしよう」などといった希望を具体的に挙げていきながら葬儀のスタイルを形作っていくのがよいでしょう。
葬儀を類型化することなんてできません。
おひとりおひとりの葬儀それぞれが、オリジナルなもののはずですからね。
コメント
この記事へのコメントはありません。
コメントする