葬儀専門業者とは?
葬儀専門業者の「専門」って何でしょうか?
互助会系の葬儀社は葬儀事業以外にも結婚式場の経営など、他の事業も行っています。JAや生協も、葬儀以外の事業を立ち上げています。それらと区別するため「葬儀専門業者」と呼ばれています。
葬儀専門業者は大小問わず、全国で5000から6000あると言われています。また、全体の7割が従業員10人以下の小規模経営をしているとのことです。地域密着型で家族経営やフリーランスの葬儀社がその多くを占めているかと思われます。
葬儀専門業者の業界団体として全日本葬祭業共同組合連合会(全葬連)があります。平成27年8月現在で1369社が加盟しています。
今回は葬儀専門業者の大手をいくつか紹介します。
葬儀専門業者の大手
燦ホールディングス(「公益社」を運営)
業界最大手の葬儀専門業者です。2014年度の売上高が約180億円。
これは市場全体の10%にも及びます。大阪に本社を置き、大阪と東京で葬儀会館を展開しています。エンバーミングサービスの自社提供を謳っています。
○セレモア
東京都武蔵野エリアに直営式場を保有する葬儀社です。ネット上に決算書が開示されていませんが、首都圏の大手です。
葬儀事業だけでなく、仏壇の販売にも強化を入れており、仏壇のショールームは東京都内や横浜など17店舗に及び、百貨店の中にも出店しています。
ティア
名古屋市に本社を置く葬儀社です。ドミナント方式で名古屋市内に24か所、愛知県全体では47か所にも及ぶ会館を保有しています。
またフランチャイズ方式での展開も行っていて、大阪、和歌山、岐阜、三重、埼玉県でも会館を展開しています。
大手葬儀専門業者の特徴
大手は事業領域を拡大して自社によるトータルサポートの実現化を進めているところが多く、返礼品事業、運送事業、仏壇仏具の販売、霊園や墓石の販売や斡旋、湯灌やエンバーミング、法事法要のお手伝いや、手元供養や散骨や樹木葬などの新しい形での供養の提案などを展開しています。
ちろんこのような大手企業はわずかで、従業員300人以上の企業は業界全体の事業者数の1%にしかすぎず、逆に従業員数10人未満が60%、50人未満が33%というのが実態で、葬儀業者の実に93%が中小零細企業なのです。
(帝国データバンク調べ:2011年)。
中小零細企業のほとんどは、昔ながらの葬儀社や、下請けや孫請けで成り立っている業者です。
一部、互助会系やティアのような全国展開も見られますが、それでも葬儀会館が支持されるかどうかはその地域にどれだけ密着しているかによります。葬儀業界のトレンドは、昔も今も、地域密着です。
ひと昔前までは地元の寺院、病院、官公庁などへの営業が主流でしたが、葬儀社を消費者自身で選ぶ時代になりました。死や葬儀の事を口にするのがタブーな時代はとうに終わり、消費者一人一人が終活セミナーに参加して、エンディングノートを手に取る時代です。むしろ最近では各葬儀社が会員獲得に躍起になり、生前からの囲い込みが重視されています。会館見学会や、セミナーや、さまざまなイベントを行っています。
今後の葬儀専門業者の動き
日本の死亡者数は2040年にピークを迎えるという試算が出ています。市場が拡大することで新規参入も増え、価格競争がすでに始まっています。
新規参入業者の乱立によりこれまでの商圏も塗り替えられ、昔ながらの葬儀社は苦境に立たされるでしょう。葬祭業は認可制ではないので、始めようと思えば誰でも開業することができます。
昨今の消費者の目は厳しくなり、一定のクオリティを保つサービスの提供には自社会館の保有が不可欠になるでしょう。業界の二極化が進むことが予想されます。