1. ホーム
  2. お葬式のあとにすべきこと
  3. ≫中陰の追善法要

中陰の追善法要

仏教には「三世」という考え方がいます。

前世、現世、来世という時間的な概念で、魂は前世を終えて、現世に転生し、現世を終えると来世に転生すると考えられています。来世の行き先を決めるのは現世の善徳をどれだけ積んだかによるのですが、この転生までの猶予期間が四十九日なわけです。いわゆる「輪廻転生」という考え方です。そしてこの四十九日間を中陰(あるいは中有)と呼びます。

輪廻転生では、転生する先として、地獄界、餓鬼界、畜生界、修羅界、人間界、天上界のいずれかに生まれ変わるとされています(六道輪廻)。ちなみに、これら六道はどの世界も苦や迷いの世界である、その輪廻から解放されるため(解脱)に僧侶は仏道に励んでいます。

さて、来世の生まれ変わり先を決めるのは、かの有名な閻魔大王です。閻魔帳に書きつけられた生前の行いの良し悪しをもとに、故人が地獄に落ちるか天に昇るかが決められます。

しかし、遺族は故人が地獄に落ちることを望みやしません。

七日ごとの法要はそのために執り行われます。花や香を供えて経を読みむことで善徳を積み、故人の往生を閻魔大王に願います。

十王信仰と十三仏信仰

さて、故人の転生を裁くのは閻魔王ですが、死後の旅路ではさまざまな王や仏が関所のように死者を待ち構えています。

中陰法要は仏教の発祥地のインドから営まれ、命日から七回に渡って七日ごとの法要を執り行って亡者の冥福を祈りました。

これが中国に渡ると仏教と道教が融合することによって、審判は閻魔大王の1度ではなく、十人の王によって裁かれると信じられました(十王信仰)。

さらにこれが日本に伝わると十三仏信仰となり、三十三回忌の弔い上げまで諸仏を本尊として祀り、年忌法要を執り行いました。

十王信仰、十三仏信仰における、年季法要は以下のようにまとめることができます。

【法要】  【十王】  【十三仏】

初七日   秦広王   不動明王

二七日   初江王   釈迦如来

三七日   宋帝王   文殊菩薩

四七日   五官王   普賢菩薩

五七日   閻魔王   地蔵菩薩

六七日   変成王   弥勒菩薩

七七日   泰山王   薬師如来

百か日   平等王   観世音菩薩

一周忌   都市王   勢至菩薩

三回忌   五道転輪王 阿弥陀如来

七回忌         阿しゅく如来

十三回忌        大日如来

三十三回忌       虚空蔵菩薩

十王信仰とは中国に広まった信仰で、十三仏信仰は日本独自のものです。

十王を日本風にそれぞれの諸仏をあてがった(本地仏)のは鎌倉時代で、十が十三になったのは江戸時代だと言われています。

追善法要の行い方

お葬式のあとに行われる初めの法要は初七日法要です。

最近では、葬儀当日に初七日法要を執り行うケースが増えてきました。これは、死後七日目に行うとなると、お葬式の終わった2~3日後に再び親族が集まらなければならず、そういった負担を軽減することから、葬儀当日の初七日法要が一般化されています。

火葬後に営むケースと、葬儀式の中に組み込むケースとがあります。

その後、二七日、三七日、と続く追善法要は寺院が遺骨などを祀っている自宅に出向くことが多く、立ち合い可能な家族だけがいればよいでしょう。

また、寺院を自宅に招くことが困難な場合は、逆に寺院の本堂に出向いてもいいでしょう。

ただし最近では、七日ごとの追善法要をしないことも多く、葬儀当日の初七日法要の次は四十九日法要だとするケースが多いです。

七日ごとに寺院を招く場合は、簡単なお茶やお茶菓子を用意する程度で構わないでしょう。親族などを無理に呼ばなくても構いません。

それでも、仕事や学校などの社会活動が優先されがちな昨今ですが、故人の往生を願う大切な法要です。遺族は可能な限り列席して、寺院と一緒に供養したいものです。