位牌の構造と選び方
位牌の構造
位牌は分解することができる作りになっています。
主に札板部分と台座部分に分かれますが、台座部分も多くの部品で構成されています。
<位牌台座の基本構造>※位牌の種類によってはこればかりではありません。
〇受花…札板のすぐ真下にある上向きの蓮弁。蓮弁をあしらったものは仏像や墓石などでも見ることができます。
〇上花…茄子座の上に置かれる、花の形に彫刻された受板です。
〇茄子座…上花と返り花に挟まれた台。正面からみると少しくぼんだ箇所の部品。中央に窓をあしらった細工がしてあり、金紙などが施されている。
〇返り花…茄子座を支える花の形の受け板。
〇框…一番下の足の部分。
位牌は必ずこれら札板から框までが分解できるようになっています。製造の段階で効率性だけでなく、札板への追加彫刻や修理をする時に分解した方が作業しやすいために、このような構造になっています。
位牌の寸法
位牌の規格は札板の高さで決まります。小さいものから3寸、以降3.5寸、4寸、4.5寸、5寸などのように、5分上がりで大きくなっていきます。在家用で大きいものでは6寸や7寸、寺院用用では1尺(10寸)を超える位牌もあります。
札板寸法で位牌の規格が決められているため、同じ寸法でも位牌の種類によっては総高さが変わります。たとえば、京中台の4寸と春日の4寸では、同じ4寸位牌でも総高さが変わりますので、購入するときは気をつけましょう。
また、位牌の札板横幅は通常2寸(約6センチ)前後ですが、夫婦彫りや複数人をまとめて彫刻するための幅広サイズもあります。
さまざまな種類
位牌の種類は数多くあります。
<台座の違い>
春日、京中台、千倉座、勝美、葵角切、猫丸、二重呂門、出高欄、吹蓮華…。
<塗りの仕様の違い>
並塗り、上塗り、タメ塗り、蝋色塗り。
<金の仕様の違い>
金箔(面金)、金粉(面粉)、三方金(正面と側面に金をあしらう)、総金(正面、裏面、側面すべてに金をあしらう)
<特殊な工芸技術>
沈金仕上げ、蒔絵仕上げ、螺鈿仕上げ
これら、さまざな仕様にによって、同じ形の位牌でも金額は大きく異なりますし、国産と海外産でも品質や金額は異なります。
どの形、どの寸法がいいかなど、しっかりと仏具店に相談しましょう。
仏具店を訪ねる時に準備しておくこと
すでにお仏壇を自宅でお祀りされていて、新しく位牌を作る方は、以下の点を事前に準備しておきましょう。
1)ご先祖様の位牌の寸法を測る(札板の高さと幅/位牌全体の総高さ)
→新しく位牌を作る時はご先祖様の位牌より高くならないようにします。
2)ご先祖様の位牌の写真(台座)
→特にこだわりがなければご先祖様と同じ種類の位牌を選ばれるのがよいでしょう。
3)ご先祖様の位牌の写真(文字彫刻)
→ご先祖様の彫刻の方法を参考にしますので正面と裏面の両方を撮影してください。たとえば「享年」か「行年」か、「歳」か「才」か、「没」か「寂」か「亡」かなど、使用している文字や、文字の配置配列を確認します。
4)故人の戒名、生前の氏名、命日、享年が分かるもの
→寺院にいただいた白木の位牌の両面を確認して、そこに書かれている内容のメモ書きや写真などを用意しましょう。
これから新しいお仏壇を購入される方は、お仏壇の大きさやデザインに合わせて位牌を決めましょう。
位牌の予算
位牌作成時の予算は、位牌本体の代金に、彫刻代金や文字の色入れ代金などが加算されます。
位牌本体は安価なもので1万円前後、高価なものでは10万円を超えるものもあります。
位牌を金額だけで判断するのは控えましょう。長くお祀りしていると塗りや金箔が褪せてきたり、芯材の痩せや反りもあるでしょう。適切なアドバイスを仏具店から受けて、総合的に判断されるのがよいでしょう。