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位牌の祀り方

位牌には死者の魂が宿る

仏壇にはその宗派のご本尊と、故人の魂が宿る位牌を祀ります。本尊はそもそも仏ですが、死者も四十九日を経て「成仏」すると仏として扱われるわけですね。

仏壇の構造として、まず上段はご本尊を祀り、中段に位牌を並べます。ところが実際に手をあわす家族からすると、大日如来や阿弥陀如来といった諸仏よりも、実在したおじいちゃんやおばあちゃんの方が親近感があるわけです。そういった意味でも、位牌は仏壇の中でも大変重要視される仏具です。仏壇の中で性根(魂)が宿るのは掛軸や仏像といった本尊を表すものと、位牌だけです。

昔の人は火事になるとまずは位牌を持って逃げると言いましたし、お盆のお飾りの時には仏壇から位牌を取り出して、盆棚に祀ります。仏壇よりも位牌が大事、といってもおかしくないような習俗は日本のいたるところで散見されています。

 

位牌を置く場所

仏壇は基本的には4段構造になっています(浄土真宗の仏壇は位牌壇が必要ないために異なります)。

上段には諸仏を祀ります。各宗派の諸仏は、中央の本尊と両脇の脇仏を祀ります。表具された掛軸を背板から吊るしたり、仏像を置いたりします。

そして2段目に位牌を並べます。原則としては向かって右側が上位、左側が下位になるので、右から古いご先祖様の位牌を並べます。新しく仏壇を購入して故人の位牌以外に祀るものがないのであれば、2段目右側に安置しましょう。

ちなみに、3段目に五具足、4段目にお供え物、というのが基本的なお仏壇内部の飾り方です。

 

本位牌はいつまで祀るのか

古いお家にいって仏壇の中を見させていただくと、5基も6基もと、多くの位牌を祀られていることがよくあります。もちろんこれらは悪いことではないのですが、これをいつまでも続けていると、仏壇の中が位牌で溢れかえってしまいます。

日本の民俗的な考え方で、祖霊(先祖)は33回忌や50回忌を終えると村全体の神霊(氏神)になります。その家の個別の先祖ではなく、共同体全体の神様になるわけです。戒名という制度は死者に名前を与えることで「個性」を授けるわけですが、33年や50年経つと、その個性も必要なくなります。祖霊は神となり、ゆえに霊の依代(よりしろ)だった位牌も必要なくなります。

33回忌(地域によっては50回忌)を済ますことを「弔い上げ」「問い切り」と呼びます。これ以降は年忌法要を行わずに、位牌も、お寺様に閉眼の読経を頂いた上で、焼却処分したり、お墓に埋めたりします。

その際、古いご先祖様に入っていただく「〇〇家先祖代々」と刻まれて位牌を用意します。ほかの位牌よりも一回り大きいものでご用意しましょう。また、過去帳位牌という、過去帳を納めることのできる位牌もあり、これを使用する地域やお寺もあります。

今現在、お仏壇の中に古い位牌が溢れかえっているお困りの方は、位牌の裏面を見てみましょう。ご先祖様の名前や命日が刻んでいるはずです。33年、あるいは50年を過ぎているようであればお寺に相談してみましょう。

 

浄土真宗は位牌を作らない

さて、浄土真宗では原則位牌を作りません。

「原則」と言ってしまうのは、高田派では位牌を用います。これは高田派が関東地方で発展してきた中で他宗の影響を受けたことに由来していると思われます。また九州地方では位牌を祀ることが多く、九州だけでなく中国地方では過去帳の代わりに繰り出し位牌を使用するところもあります。

浄土真宗では、亡くなった人はすでに阿弥陀様の本願により浄土に往生されているために、本尊以外に位牌を祀ることも、遺族による追善供養の必要もないとされています。阿

浄土真宗では先祖や故人の記録として過去帳を用います。また寺院から頂いた法名(葬儀の際に故人の法名などが書かれた紙)を表具する「法名軸」と呼ばれるものを仏壇の内部側面に飾ったりします。