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位牌のあれこれ

位牌の歴史は大変古いのですが、昔から位牌の生産が盛んなところがあります。

 

会津位牌(福島県)

位牌の産地といってまず思い出されるのは会津位牌です。今では日本全国で会津産のお位牌が販売、利用されています。

漆塗りの歴史は大変古く、縄文時代にまでさかのぼると言われています。

会津若松に漆産業が根付いたのは蒲生氏郷の会津赴任によると言われています。

近江に生まれて、松坂に移住して、会津に赴任した蒲生氏郷は幼少の時に織田信長の人質となるのですが、その時に信長の楽市楽座などの「商業のまちづくり」から多くのものを学びました。そして自身の転封先に職人を引き連れてまわったとのことです。その中には位牌を作る上で重要な木地師や漆師もいたとのことです。

また、漆の主要産地が岩手県や茨木県や栃木県となどの東北地方や北関東といった会津近隣にあったことも漆産業が会津若松地方の伝統的な地場産業として発展した要因でしょう。

 

京位牌

京都で製造される位牌のことを京位牌と呼びます。

現代でこそ日本の都は東京ですが、794年の平安京開城から、1868年の江戸開城まで、京都は1000年以上に渡って日本の都として君臨しました。そのため、さまざまな伝統工芸が発達し、技術や職人も全国から集結しました。仏具を製造するのに必要な、木地師、漆師、箔押師、錺金具師、鋳物師、漆師、彩色師、蒔絵師、染物や織物など、彼らは仏具だけではなく、建築や、建具、家具や什器や装飾品など、さまざまな面で活躍して、その技術と伝統は現代にまで継承されています。

そして、京都にはあらゆる宗派や宗門の寺院があり、本山クラスの寺院もみな京都やその周辺に集まっており、必然的に宗教用具を取り扱う職人や仏具店が発展してきました。

 

高野位牌

高野位牌とは和歌山県で製造される位牌のことです。文字通り、高野山は真言宗の総本山です。全国に展開した高野聖の存在などもあり、高野山は真言宗の信徒に限らず多くの人々の信仰の対象となり、織田信長に豊臣秀吉、武田信玄に武田勝頼、伊達政宗に石田三成に明智光秀など、名だたる武将や権力者が埋葬の地として選んだほどです。現在でもお参りや巡礼の方はあとを絶たず、その周囲で宗教用具の製造が発展してきました。

 

名古屋位牌

名古屋で作られる位牌を名古屋位牌と呼びます。名古屋も古い歴史があり、真宗門徒の多い土地柄です。金箔の生産地として名高い金沢(金箔の国内生産の99%が金沢です)が近いこともあり、名古屋の金仏壇は特に有名で、絢爛豪華の極みです。真宗は位牌を用いませんが、そのような経緯から宗教用具の生産が盛んな土地です。

 

位牌の種類も地域的な傾向がある?

昔ほどではないとはいえ、使われる位牌は未だに地域的な傾向があります。関東では唐木位牌が多く、勝美や葵角切などが選ばれています。関西では塗り位牌が多く、千倉座や京中台が多いでしょう。

ただし、位牌には決まりはありません。どの宗派であれ、お仏壇に合う好みのものを選べばよいでしょう。

 

家具調位牌・創作位牌

仏壇の多様化に伴い、位牌や仏具もデザインの洗練されたものや凝った装飾のものなど、さまざまな商品が登場しています。

板位牌でも蒔絵や沈金、象嵌などといった技法を施して高級感を出したもの、青や緑や赤などのさまざまな色で仕上げたもの、ウォールナットなどの外国の木材を使用したもの、その他、クリスタル製のものなど、デザインや材質も多様化しています。

 

位牌のお手入れの仕方

唐木位牌は乾拭きをして構いません。水拭きの場合は必ず固く絞り、水拭きの後の乾拭きして水分を残さないようにしましょう。また彫刻文字に色が入っている場合は水がしみ込むことで中の色が取れることがあるので注意しましょう。

塗位牌の金箔(金粉)部分は触れると金がすぐに励ます。毛払いなどで埃を払う程度にしましょう。黒塗りの部分は乾いた柔らかい布で拭けます。

位牌は分解することができるのですが、年月が経つとそれぞれの部材が痩せてきてぐらつくことがあります。一度分解して薄いかまし木を差し込めば固定できるのですが、慣れない手で扱うと傷の原因になるので近くの仏具店に相談するとよいでしょう。