仏具について(礼拝の対象となる仏具)
仏壇は、自宅で本尊や先祖を祀る施設です。
本尊や先祖を礼拝するために、さまざまな道具を用いますが、これらを「仏具」と呼びます。
ここでは、礼拝の対象となる仏具について触れてみたいと思います。
本尊(掛軸)
本尊とは、各宗派で礼拝の対象としている仏様のことを言います。表具された掛け軸を仏壇の背板に貼りつけて吊るすものと、仏像を安置する場合とがあります。どちらにしなければならにというものではありませんが、相対的に掛軸よりも仏像の方が高価でしょう。
掛軸は表具の仕様によって金額が異なります。多いのは唐草の金襴地のものですが、落ち着いた色の緞子地のものもあります。本紙(掛け軸の真ん中の絵の部分)には、それぞれの宗派の諸仏が描かれます。寸法は、20代、30代、50代…というように独特な規格で定められています。
浄土真宗では「本山掛軸」と呼ばれるものがあります。本願寺派であれ、大谷派であれ、それぞれの本山である本願寺よりご本尊を授かって仏壇に取り付けます。本願寺の門主にお勤めいただいた掛軸とされているので、熱心な門徒はこれを菩提寺に依頼します。
本尊(仏像)
仏像は、使用する木材や仕様によって金額が大きく異なります。木材は、桧、楠、松、白檀などが用いられます。白檀を使用したものは仏像から厳かな高貴な香りが漂い、非常によいものとされていますが、その分金額も高価になるでしょう。
木材の素材をそのまま生かした無垢物から、金箔を押したもの、彩色を施したものなどさまざまです。また、台座にの凝り方もさまざまです。
仏像の寸法は、座像(座っている仏像)であれ、立像(立っている仏像)であれ、白毫(びゃくごう)と呼ばれる眉間から出ている膨らみ(実際には長い毛が生えていて、右巻きに丸まっていると言われています)から、足の先までで測ります。尺寸ですので、2寸、2寸5分、3寸…というように定められています。当然、これらの寸法は仏像本体の寸法なので、同じ寸法でも台座の作りが異なれば、総高さも異なるので注意しましょう。
位牌
仏壇では、その家の宗派の中心となる本尊を祀り、その家の先祖を祀ります。
先祖の魂は位牌に宿ると考えられており、本尊より一つ低い段を位牌壇として、ここに祀ります。
位牌は素材もデザインもさまざまです。
素材は、紫檀や黒檀などといった「唐木位牌」から、黒塗りに金を施した「塗り位牌」が主流です。塗り位牌も、面取りをした縁だけ金を施すものから、位牌すべての面を金で施したものまでさまざまです。
デザインも、春日、勝美、葵、猫丸、千倉座、京中台、呂門、といった様式に、吹き蓮華、出高欄、切高欄などの装飾の組み合わせなど、無数のバリエーションがあり、これらの組み合わせによって安価なものでは1万円前後から、高価なものでは数十万円のものまであります。
位牌には故人や先祖の戒名や生前の名前や命日などを彫刻しますが、個人単体の「一人彫」や、夫婦の名前を並べて刻む「夫婦彫」などがあります。
また、代が変わるごとに位牌が増えていってしまうので、33回忌や50回忌を過ぎた先祖をまとめて祀る「先祖代々位牌」や、中に過去帳を納めることのできる「過去帳位牌」や、木札を複数枚納める「繰り出し位牌」といったものもあります。
位牌の寸法は札板で測ります。4寸、4寸5分、5寸、5寸5分といった具合に測ります。同じ寸法でも台座が異なれば総高さは変わりますので気をつけましょう。
過去帳
過去帳とは、先祖を記録する帳面のことです。
過去帳は礼拝の対象ではなく、魂や性根は宿らないと言われていますが、浄土真宗では位牌を祀らないために、教義上は必要ないものとされている者の、先祖を表すためのものとして大切に飾ります。また、浄土真宗以外でも、記録のものとして過去帳を用いることがあります。
過去帳は見台に置いて飾ります。
命日や祥月命日にあたる先祖のページを開いて祀ります。