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仏具について(吊り物)

仏壇は、本尊や先祖をご自宅で礼拝する施設です。

最近では家具調仏壇など、シンプルなデザインやオシャレなものがたくさん販売されるようになりましたが、従来の仏壇は、唐木仏壇であれ、塗り仏壇(金仏壇)であれ、寺院の荘厳をご自宅用に小さくしたものでした。

それぞれの宗派には本山寺院がありますが、その本山の末寺が全国各地に点在して、その寺院の本堂は基本的には本山と同じような荘厳をします。それをさらに小さく、ご自宅用にまとめたものが仏壇なわけです。

このページでは、さまざまな仏具の中でも吊り物の仏具(上から吊るして飾る仏具)について触れていきますが、これら1つ1つの大きなものが、寺院でも飾られています。

「何のために使うんだ?」「こんな仏具意味がない」と思わないでくださいね。1つ1つの仏具には、意味があるのです。

 

灯篭(とうろう)

灯篭とは、本尊を明るく照らすための仏具です。昔は火袋の中で火を灯しましたが、今では電気の線を這わせて電球を灯します。

灯篭にもさまざまな形があります。よく使われるものは丸型と言って丸い形のもの、夏目型といって楕円になっているもの、利休型や雅型と呼ばれる高級感のあるものもあります。

浄土真宗では真宗専用の灯篭があり、これを「神前灯篭」と呼びます。六角形でできたもので、本願寺派は「猫足」と呼ばれて足の部分が内側に曲がっていて、大谷派は「丁足」と呼ばれて足の部分が外側に張り出しています。

材質は、最近ではほとんどがアルミ製のものが使用されていますが、真鍮製のものもあります。アルミ製に比べてずっしりと重く、重厚感が違う分高価です。

また、火袋部分も鳳凰や雲や唐草の絵があしらわれているものもあります。

 

瓔珞(ようらく)

宮殿(くうでん)と呼ばれる本尊を安置するお宮の屋根や、天蓋や、天井から吊るす金の装飾具です。

瓔珞とは、本来は古代インドで装飾具として用いられていたもので、仏像では首飾りや胸飾りに用いられています。その場をきらびやかに華やかにする仏具と言えるでしょう。

特に浄土真宗の仏壇は金色に輝くまばゆい極楽浄土の世界を、寺院の荘厳や名仏(仏壇)で表現しますから、瓔珞は大切な仏具です。他の宗派と異なって、本願寺派では宮殿の屋根の隅に取り付ける、大谷派では輪灯の上に取る付けるなど、場所の指定もあるほどです。

 

輪灯(りんとう)

傘と相吊(あいづり)と呼ばれる吊り具と受け皿でできた真鍮製の仏具を輪灯と呼び、浄土真宗で用います。元来、受け皿に油を入れて、灯芯を燃やして火を灯していましたが、最近では電球を使用するのが主流となっています。また、傘は油煙よけのためのものだと言われています。

大谷派の輪灯はシンプルな造りですが、報恩講などの重要な法要の時には傘の上に瓔珞を取り付けて華やかにします(輪灯瓔珞)。

それ以外の諸派では、装飾の入った輪灯を用います。本願寺派は「菊輪灯」、高田派は「桐輪灯」、仏光寺派は「藤輪灯」などです。

また、浄土真宗以外の宗派でも用いる輪灯に「七宝輪灯」「平蓮輪灯」「天竜輪灯」などがあります。これらはそれぞれデザインが異なります。また、浄土真宗用の輪灯と違うのは真鍮の地金のような金色の仏具ではなくて、真鍮に漆を焼きつけた「色付き」と呼ばれる仕様で、黒っぽい仏具です。