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お正月の仏壇飾り

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お正月も先祖祭祀の行事

お正月と言えば、神社への初詣を連想される方がほとんどですよね。仏事と神事を分けて考えるのであれば、お正月は神事として捉えることができます。

ところが、元来、お正月とはお盆と並ぶ先祖祭祀の行事でした。

日本の民俗では、人は亡くなると死霊となり、四十九日で祖霊となり、三十三回忌(あるいは五十回忌)で神霊、つまりは村の氏神になると考えられています。先祖の霊は、山や森に集まり、そこに神社を建てて祀りました。

ですから、お正月の初詣とお盆のお墓参りは同じ構造だと言えます。神社に行って氏神様に新年のあいさつをするというのは、私たちの古い先祖たちへの挨拶なわけです。明治の廃仏毀釈までは、日本人は神も仏もごちゃまぜにしていましたので、こういったこともまったく矛盾ではなかったのだと考えられます。

お仏壇の大掃除

お正月だから特別なことをするということはありませんが、新年を迎えるにあたってお仏壇の中も大掃除をしてあげましょう。

仏具をすべて外に出す

仏壇の中の仏具は一旦すべて外に出しましょう。

一旦外に出してしまうとどこに戻せばいいのか分からなくなってしまうので、カメラやスマートフォンで写真を撮っておけばいいでしょう。

また、電灯用の配線がされていることもあるので、取り扱いには十分に気をつけましょう。

仏壇本体を掃除する

まずは埃を払っていきましょう。高い所から低い所を払っていくのが掃除の基本です。

毛払いなどを使って払うのもいいでしょうが、結局は埃が舞うだけなので、固く絞った水拭きなどをしましょう。その際に、すぐに乾拭きで拭きとって水気が残らないように気をつけましょう。

※注意しなければならないのは金仏壇です。

金仏壇は基本的に漆の塗りの部分と、金箔や金粉などの金の部分で構成されていますが、金箔の部分は絶対に触れないように、毛払いで優しく払う程度にしておきましょう。また、塗りの部分も、布が荒かったり固かったりするとすぐに傷がついてしまうので、柔らかい布を使うように心がけましょう。蒔絵を施してある箇所も、直接触れない方がいいでしょう。

※欄間などの細かい彫刻部分をお掃除する際は、彫り物が割れたり折れたりしないように細心の注意を払いましょう。

仏具を掃除する

仏具の扱いも基本的には仏壇本体と同じようにしましょう。

塗りの仏具

柔らかい布で拭きとりましょう。

しつこい汚れの場合は固く絞った布で水拭きした後に必ず乾拭きしましょう。表面が傷つかないように気をつけましょう。

金物の仏具

金物の仏具は、主に五具足(三具足の場合もある)、灯篭、瓔珞(ようらく)、輪灯、りんがあります。

基本的には乾拭きでの拭き取りで構いませんが、しつこい汚れの場合は固く絞った布で水拭きをしたあとに必ず乾拭きをしましょう。

金物の仏具にも、黒っぽいものと、金色のものがあります。

黒っぽいもののほとんどは、真鍮に漆を焼きつけたものですので、上に書いたような形でお手入れしましょう。

金色のものは、真鍮製のもの、アルミ製のもの、それらにメッキをかけたかどうかなど、一般の方ではなかなか判断が難しいところでしょう。

浄土真宗では「おみがき」といって、昔からこの金色の仏具をきれいに磨くことがよいこととされています。これは寺院でも自宅でも今も行われている風習です。

おみがきをするのは真鍮製の仏具は放っておくとどんどん変色して劣化するためです。常にきれいな金色の状態を保つことでまばゆい極楽浄土を表すわけです。

ところが、おみがきが中々大変な作業で、これを解消するために最近ではメッキ加工された仏具が主流になっています。メッキ加工の仏具は絶対に磨いてはいけません。メッキがはがれてしまうからです。このあたりの判断は近所の仏具店に相談するのがいいでしょう。

 

お仏壇の飾り方

内敷

内敷とは金襴の布の事です。浄土真宗では三角形、その他の宗派では四角形のものを使用します。法事や命日や、お盆や彼岸などの仏事行事の時には打敷を敷いてお仏壇をきれいに飾ってあげましょう。お正月だって例外ではありません。

浄土真宗の三角形の打敷は、五具足(あるいは三具足)の下に敷きます。

その他の宗派の四角形の打敷は、膳引(可動式の台)の上に敷いて、その上に仏膳を乗せます。仏壇の前面に垂らすような形になります。

仏膳

仏膳とは、お供え用の小さなお膳です。仏壇には基本的には精進料理を供えます。お正月にはみなさまが食べられるおせち料理をお供えされたらよいでしょう。

鏡餅

鏡餅は、神棚や床の間に飾るものですが、浄土真宗ではお仏壇の中でお供えします。

元来、浄土真宗ではお供え物としてお餅がとても重要なものとされています。報恩講という親鸞聖人を讃える一年で一番大切な法要の時もお餅をお供えします。鏡餅は三重のものを一対供えるのがよいとされていますが、お仏壇の大きさにもよりますので、可能な範囲でされたらよいでしょう。

お花

せっかくのお正月ですからいつもより華やかにお飾りしたいものです。決まりは特にありませんが、松に、梅や南天や椿などを飾ると、よりお正月らしい雰囲気が出るでしょう。

床掛軸

お仏壇とは異なりますが、仏間の横に床の間がある場合は、掛軸もお正月らしくされるのもよいでしょう。

鶴、松竹梅、赤富士などの慶事ものもよいですが、「南無阿弥陀仏」や「南無大師遍照金剛」などの仏事用のものを掛けてももちろん構いません。

ローソク

ローソクに決まりはありません。普段使用されている白のものでも構いません。ただ、せっかくのお正月ですから、蒔絵をあしらった絵ローソクや朱ローソクを立ててみてはいかがですか?

ご家族のみさなんとご先祖様一緒におめでたい気分にしてあげてもよいかと思います。

実際に、浄土真宗では報恩講の時に朱の和ローソクを立てます。

お正月飾りの期間

いつ飾る?

決まりはありませんが、12月28日がよいとされています。「8」の数字が末広がりだからです。29日以降はあまりよいとされていません。

29日。「9」が「苦」を連想させるから。

30日。旧暦では31日がなかったために、「一夜飾り」を連想させるため。

31日。歳神様のお迎えの準備を一日でしてしまうことは誠意がないと考えられ、あまりよくないとされています。また、「一夜飾り」は葬儀を連想させることから控えます。

いつまで飾る?

松の内を過ぎればお正月飾りは取り払いましょう。

旧暦では1月15日が松の内でしたが、現在は1月7日とされています。

喪中の正月飾り

忌中(四十九日まで)は慶事は控えますが、それ以降は個人的な判断によります。

喪中はがきを用いて年賀状を控える風習があるくらいなので、その年のお正月飾りは避けてもよいのですが、してはだめだということではありません。

まして仏壇は死者である先祖を祀るものなので、特別華美にされないにしても、普段通りのお飾りをすればよいでしょう。