さまざまな仏具 お手入れ編・その他の仏具編
仏壇は、何代に渡ってその家の本尊を、あるいはご先祖様を祀って供養するものです。簡単に壊れてしまっては困りますし、長持ちしてほしいものです。
そのお仏壇の寿命や、素材や仕様もさることながら、ご家族の毎日のお手入れの頻度に依ります。高い仏壇を買ったからといって汚れにくいということはありません。毎日のさりげないお手入れが、お仏壇の長持ちの秘訣です。
毎日のお仏壇のお手入れに便利な道具をご紹介します。
真鍮磨き
真鍮の仏具は、放っておくと変色してきます。定期的に磨いてあげることで、真鍮本来の地金の色と光沢を放ちます。
さて、真鍮磨きの商品には主に2つのものがあります。薬液タイプとチューブタイプです。
薬液タイプで有名なのは「テガール」と呼ばれる商品です。
希釈したものに30秒程度浸して、水洗いするだけで真鍮の汚れが劇的に落ちます。なかなか手の届かない複雑な彫刻面などにも液が浸透するために難なく汚れが落ちます。これまでの「真鍮磨き」という労力を要する作業を劇的に進化させた定番品です。
チューブタイプで有名なのは「アルボン」です。
歯磨き粉のようにチューブの中から磨き粉を出して仏具に直接つけて、布などでこすると、黒ずんだ汚れがまたたく間に布に付着します。それだけ真鍮の表面が汚れていたことを意味します。
「テガール」できれいにして「アルボン」で仕上げる、というのが理想的でしょう。
真鍮磨きでもっともよくお手入れされるのはりん(「ちーん」と叩いて音を鳴らす仏具)です。騙されたと思って磨いてみてください。表面の光沢だけでなく、叩いたときの音色も澄んだように透き通ります。
注意しなければならないのは、金物の仏具のどれでも磨いてよいわけではないということです。というのも、多くの金物の仏具は真鍮製なのですが、最近は汚れや変色を防ぐためにメッキ加工されたものが多く出回っています。メッキものは磨いてはいけません。メッキがはがれてしまうからです。
また、真鍮製でも、宣徳色(黒っぽい色)などに焼きつけしているものもあり、これらも色がはがれてしまうので磨くことができません。
金属製品の素材の確認には十分に気をつけてください。分からないようであれば仏具店に尋ねてみましょう。
真鍮の仏具を最も多く使用しているのは浄土真宗です。
浄土真宗のお寺では、門徒を集めて「お磨き」を行っています。時期はお寺にもよるのですが、多くは、「報恩講」という親鸞聖人の祥月命日前後に行われる大切な法要に先立ってお磨きをします。11月から12月にかけてされることが多いので、併せてご自宅の仏具も大掃除をかねてお磨きするとよいですね。
カメヤマローソク「故人の好物」シリーズ
ロウソクメーカー大手のカメヤマローソクが製造する「故人の好物シリーズ」はどこの仏具店に行っても見かけますし、薬局やホームセンターでも見かけるヒット商品です。
要は、蝋でさまざまな食べ物や飲み物を作っているのですが、その蝋細工がすごい。ビール、緑茶、コーヒー、お団子、メロン、かき氷、桜もち、フルーツとなんでもありです。
それだけでなく、企業とのタイアップもあります。ワンカップの大関、麦焼酎二階堂、ペプシコーラ、日清のカップヌードルなど、もはやユーモア商品の発想力と技術力に目を奪われてしまいます。
ローソクで芯もあることから、火を灯すことはできますが、これらをそのままお供え物としてお仏壇やお墓に添える方も多くいます。お供え物が痛んだりしないのが利点です。
灰ふるい
お線香を灯しますと当然灰となって落ちます。香炉の中の灰は半永久的に増えていくことになり、やがてはあふれんばかりになってしまいます。
たまった灰は定期的に捨てましょう。香炉の7から8割ほど灰が入っていれば大丈夫です。そして、軽くかき混ぜて、灰の中に空気を入れてあげましょう。お線香が燃えやすくなります。
さて、灰の中には線香の燃えカスが残っていることもしばしばですが、この燃えカスだけを取り除いてくれる便利な仏具が灰ふるいです。砂時計の原理なのですが、中央部のくびれ網を入れることで線香の燃えカスだけ除去して灰を濾すことができます。
もちろんこれを購入しなくても、ザルと器があれば、同じ容量で線香の燃えカスを処分することもできます。