死亡診断書と死体検案書の準備
日本では、人が亡くなると次のいずれかの書類で死亡を証明します。死亡診断書と死体検案書です。
- 病院の医師が発行する書類が死亡診断書
- 死体を検案した医師(監察医や警察医)が発行する書類が死体検案書
これらはA3サイズの書類で、左半分が死亡届(故人の名前や戸籍の情報を遺族が記入)、右半分が死亡診断書(故人の死因や死亡時刻などを医師が記入)で、この書類を役所に提出することで火葬許可証が発行されます。
葬儀を行う上でとても大切な書類なのです。
死亡診断書と死体検案書の取り扱い
死亡診断書と死体検案書。2つは書式こそ同じですが、書類の発行とご遺体の引き渡しまでの流れが異なり、ご遺族の対応も大きく変わることになります。
死亡診断書発行の場合
死因が明らかに継続的に診療中のものであると予測される場合には死亡診断書が発行されます。
つまり、病院にずっと入院されていた場合、患者の容体の推移を医師が把握しているので、正確な死因、死亡時刻を特定することができるわけです。
この場合は、看護師のご遺体へのエンゼルケアや、医師の死亡診断書の発行が済み次第、ご遺体は遺族に引き渡されてご搬送、という流れになります。
死体検案書発行の場合
ところが、そうでない場合は少し流れがややこしくなります。死体の検案をしなければならないからです。
以下は東京23区のケースですが、死体検案書の発行までの流れは監察医制度の有無など、都道府県や自治体によって異なります。
検案を行うのは以下のケースです。(東京都監察医務院ホームページより)
○医師の診療を受けずに死亡した場合
○医師の診療を受けたが死因不明の場合
○医師の診療中の病気と違った他の原因で死亡した場合
○発病または死亡時の状況に異常がある場合
○不慮の外因死(交通事故死、転落死、溺死、焼死など)、自殺、他殺 など
つまり、自宅での孤独死、自殺、他殺など、容体の経過を医師が把握していない場合は全て検案をしなければならないわけです。
これは死因や死亡時刻などを特定(推定)するためです。
また、病院で亡くなったとしても検案をすることがあります。
たとえば交通事故で病院に運ばれて亡くなった場合も、病院の医師が継続的に診療しているわけではないので、検案に臨みます。入院中の患者の容体が急変して医師の見立てで死因が特定できない場合も検案を行います。
検案は死亡現場(自宅・病院)、警察、あるいは監察医務院のいずれかで行います。
行政解剖の実施
検案で死因が特定できれば、その場で死体検案書が発行され、ご遺体はご遺族に引き渡されますが、検案でも死因が特定できない場合は行政解剖を行います(犯罪性の疑いがある場合は司法解剖)。
東京23区の場合、行政解剖は監察医務院で行われます。監察医制度のない地域では大学の法医学教室で行われるケースが多いようです。
行政解剖は検案の当日か翌日には終わり、ご遺体はご遺族に引き渡され、死体検案書も発行されますが、これは役所に提出するためのもので、死因の特定には2か月程度を有すると言われています。(司法解剖はこの限りではありません)
検案を行う場合は、ご遺体の引き渡し場所や時間がケースによって大きく異なります。
死亡の連絡を受けた段階で、すぐに葬儀社に連絡して、どのような形であっても対応してもらえるようお願いしておきましょう。
あとは、所定の手続きが完了するまでは警察の指示に従いましょう。
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