大切な人が亡くなった際の遺体の搬送と注意点
遺体の搬送をどこに依頼するか。
実はこれは、その後のお葬式を左右する上でとても重要な事柄です。搬送の契約がそのまま葬儀施行の契約になりかねないからです。
遺体の搬送とは?
所定の手続きが済みますと、遺族は速やかに遺体を搬送しなければなりません。
病院にせよ警察にせよ、早く搬出してもらいたいというのが本音でしょう。葬儀社が決まっている場合、逝去を知った段階で、早めに連絡して寝台車の手配をしていれば安心です。ほとんどの葬儀社が24時間365日対応です。
病院や警察には提携の葬儀社が出入りしています。搬送をどこに依頼してよいのか分からずに困っている場合に紹介をもらうことがあります。
これを病院や警察との「癒着」と言ってしまってよいのかの是非はさておき、突然のことで困った場合はこの紹介された業者に依頼すればいいでしょう。ただしこの時に必ず、搬送のみの依頼であることをはっきりと伝えておきましょう。
【重要なポイント】
搬送だけかと思っていると葬儀社に上手く言いくるめられて、葬儀の施行契約まで話が進んでしまったというのはよくある話です。
遺族がその葬儀社でも構わないということであれば何ら問題ありませんが、スタートから相手のペースに乗せられて葬儀に向けて動き出すと、自分たちが本当に望んでいる葬儀ができない恐れもあります。
さて、もう一つ重要なのが遺体をどこに安置するかです。
自宅であれば結構です。安置が済み次第その業者に搬送料金を支払い、引き取ってもらってから葬儀社をどこにするか検討してもよいでしょう。
問題は自宅に安置できない時です。
自宅に連れて帰れない遺族のために数多くの遺体安置施設が存在しますが、施設を保有しているのは斎場、火葬場、葬儀社、がほとんどです。
葬儀社は自社の安置施設で預かることを勧めてくるでしょう。安置は有料ですし、何よりも遺体を一旦預かることで、商談を有利に勧めることができるからです。
多くの遺族は身内の死を目の当たりにしたばかりの状況で、葬儀社を数社比較検討する余裕と時間がなく、そうするとなし崩し的に紹介された葬儀社にすべて任せてしまいたい気持ちになるようです。
ただ、本当にその葬儀社が満足いくサービスを提供してくれて、適正価格を提示してくれるのかは分かりません。
それが不安であるなら、やはり元気なうちにいろいろな葬儀社を見て回るのがよいでしょう。
遺体の搬送までの流れ
○逝去 希望の葬儀社があればなるべく早く連絡する
↓
○死亡診断書(あるいは死体検案書)の発行
↓
○看護師などによる清拭、着替え
↓
○末期の水(死に水) 故人の口を湿らせます。
↓
○病室から霊安室への移動
↓
○医師や看護師によるお参り
↓
○葬儀社の寝台車に乗せて出発
通常寝台車には1~2名ほど遺族が同乗できます。
最近では、安置先までのルートの中に思い出の場所やゆかりの場所を入れて立ち寄るサービスを行う葬儀社も出てきました。搬送1つでも葬儀社の遺族へのホスピタリティはこうも変わってくるわけです。
自家用車で遺体を運んではいけないのかという質問がたまにありますが、違法ではありません。
ただし医師の発行した死亡診断書(死体検案書)の携行が必須となります。遺体の扱いや安全性の面などから、多少お金はかかりますが、葬儀社に依頼するのがよいかと思います。
また、葬儀社が寝台車を運行させるためには、貨物運送事業の許可の中の霊柩車運送業(遺体搬送)の許可を受け、寝台車が緑ナンバーである必要があります。従って葬儀社による遺体の搬送の時に白ナンバー車での搬送は違反行為にあたります。