遺体の自宅安置・安置施設を利用する場合のメリットとデメリット
安置先には主に2つの場所があります。ひとつはご自宅。そしてもうひとつはご自宅以外の場所です。
そして私は、1件でも多くのご遺族の方に、故人様を可能な限り、ご自宅に戻して差し上げたいと願います。
遺体の安置方法について
私がこのように思う理由は、故人様と水入らずの時間を過ごしてほしいからです。
そして自分たちの生活空間の中についさきほどまで魂を宿していた人の亡骸を安置することで、「死」という現実に接することができるからです。
人生の中で、生活空間に「死」が入る込むことなんて滅多にありません。これは故人様にとっても、遺された人にとっても、大変貴重な時間だと考えます。
アンケート調査では48%の人が自宅で息を引き取りたいと願っているのに対し、実際に自宅で亡くなっている人の割合は全体の15%程度だそうです(産経新聞出版『終活読本ソナエ』2015年冬号)。
48%という数字は過半数こそ満たないもののトップ回答で、2位は「老人施設」が24%、3位が「病院」で21%と続いているそうです。
死亡地の8割近くは病院というのが昨今の現実です。自宅で息を引き取りたいのに叶わなかったのであれば、せめて最期のひと時は住み慣れたご自宅に戻して差し上げませんか?
住宅事情などであきらめる前に、ぜひ葬儀社に相談してみましょう。
ちなみに、葬儀の満足度は安置の出来ですべてが決まるというのが私の持論です。故人様とご家族水入らずの時間を過ごしてもらえるために妥協しない葬儀社はよい葬儀社です。手際の良さや気配りや真面目さが問われます。
とは言ってもご自宅に戻すことが現実的にできない方がいるのも事実です。ここでは自宅安置とそれ以外の場所への安置のそれぞれの特色を挙げてみます。
自宅安置の特色
自宅安置は、布団を敷いて、祭壇を組んで、座布団の上でお参りしていただくため、6畳程度のスペースが必要になります。
北枕、あるいは西枕に安置した布団の上には守り刀を置き(魔よけの短刀)、顔は白布で覆い、手は胸元で組みます。枕飾りには枕飯や枕団子を供えます。
また、香は絶やさないようにしますが、最近では葬儀社が巻線香(一度灯すと長時間持続する渦巻き状の線香)を用意してくれます。
※これらはあくまで仏式の安置の方法で、ご信仰によっては道具やお参りの方法は異なります。
○自宅安置のメリット
- 故人様の住み慣れた家に戻してあげることができる
- ご家族や弔問客が故人様とゆっくりと過ごすことができる
- 枕飾りを設置するので寺院の枕経にも対応できる
○自宅安置のデメリット
- 搬入搬出の際に人目に触れるため、家族葬などで近所に知られたくない場合は不向き
- 仏間の確保をしなければならない
- お参りの方がある場合、仏間だけでなく家の中もきれいに整えてなければならない
○ご家族で用意、準備するものがあります
- 枕飯(炊き立てのごはんを盛って箸を突き刺して供える)
- 枕団子(六道輪廻にちなんで白玉団子を6つ作って供える)
- 生前使っていた寝具(ベッドでも可)
- お参り用の座布団
- 半紙(神棚封じに使います)
- 座布団(お参り用)
- できるだけ涼しい環境(空調がある部屋が望ましい)
ご遺体の保全は、葬儀社がドライアイスの手当をしますのでお任せしましょう
安置施設を利用する場合の特色
ご自宅に故人様を連れて帰れない場合、安置施設を利用します。
主に、葬儀社、斎場、火葬場などが保有しています。住宅事情や近隣に知られたくない、故人様の帰る自宅がない、遺体の状況から自宅安置が難しい…などの事情の方が利用されています。
また、多くの場合は個別に部屋が用意されているわけではないために、面会時間の制約や、納棺必須、お線香不可などの条件が伴います。また、保管方法も冷蔵保管と常温保管とがあり、それらによって金額も変わります。必ず事前に確認しましょう。
○安置施設利用のメリット
- 自宅の中の掃除や近所への連絡などの手間が省ける
- 誰にも知られずに葬儀をしたい場合に適している
- 遺体の衛生保全が安心だ
○安置施設利用のデメリット
- 預ける日数分ほど費用がかかる
- 面会やお参りの時間や方法に制限がある
- 安置施設を保有する葬儀社にそのまま葬儀を依頼することになった