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浄土真宗のお葬式

浄土真宗の基本情報

○開祖:親鸞(1173~1262)

○本尊:阿弥陀如来

○本山:本願寺(浄土真宗本願寺派/京都)

:真宗本廟(真宗太田派/京都)

:専修寺(真宗高田派/三重)

:佛光寺(真宗佛光寺派/京都)など

○経典:『浄土三部経』(『仏説無量寿経』『仏説観無量寿経』『仏説阿弥陀経』)

○信者数:1058万0206人(『宗教年鑑』文化庁編/平成24年版、※諸派を含む)。

浄土真宗とは

現在においても非常に多くの信者を持つのが浄土真宗です。「真宗」や「一向宗」などとも呼ばれています。

浄土真宗は親鸞を開祖とした浄土教系の宗旨の一つです。親鸞の死後、真宗十派をはじめいくつかに分派していますが、現在は浄土真宗本願寺派(西本願寺)か真宗大谷派(東本願寺)がほとんどの門徒を抱えています。

法然に師事した親鸞自身は、法然の弟子でいられることを生涯の喜びとしたらしく、独立開宗の意思はなかったようです。親鸞の没後、門弟たちによって教団化します。

本願寺の8代門主蓮如の代には、彼の尽力により教団はまたたく間に発展・拡大し、一揆勢力を興すまでになります(本願寺以外の勢力は衰退します)。

本願寺そのものは徳川家康の宗教政策によって西と東に分離させられたものの、その勢力は現在においても脈々と受け継がれています。

浄土真宗の教え

法然の弟子である親鸞は、師匠の教えを否定したのではなく、むしろそれを讃えた上で深化させて布教しました。

法然の教義は専修念仏。「南無阿弥陀仏」と称えることで極楽往生ができると説きましたが、親鸞は念仏を口にして称えるよりも前に、阿弥陀如来の本願力を「信じる」ことで極楽往生できるとし、もっとも大切なのは信心だと説きました。

浄土真宗の教えの根幹は以下の四つに集約されます。

「他力本願」自力ではなく他力(阿弥陀仏の本願力)を信じること。

「称名念仏」南無阿弥陀仏をひたすら唱えること。

「現生不退」信心は自発的に起こるのではなく阿弥陀仏によって起こさせられるもので、それを受け入れることによって往生できる身となる。そのため、念仏は往生を祈る方法ではなく、往生が決まったことへの報恩感謝のためのものだ。

「悪人正機」全ての衆生は悪人であり、悪人こそが阿弥陀仏の救済の対象である。

浄土真宗の慣習

浄土真宗には独自の慣習が数多くあります。

○肉食妻帯が許される(明治期まで、他宗の僧侶は妻帯を禁じられていました)

○出家、在家という概念がない

○「戒名」ではなく「法名」を与えられる

○「檀家」のことを「門徒」と呼ぶ

○位牌を祀らない

、、、などなど、これ以外にも数多く存在しています。

浄土真宗の葬儀

浄土真宗の葬儀では、門徒は死とともにすでに極楽往生を遂げていると考えられているために、引導や授戒はなく、極楽往生への報恩感謝が主目的です。

また、極楽往生が約束されているために、守り刀や死装束や清め塩なども用いません。

○本尊は阿弥陀如来

○焼香回数は本願寺派が1回、大谷派が2回です。

○唱える言葉は「南無阿弥陀仏」

葬儀の流れ

○臨終・通夜
浄土真宗では枕経を遺体の枕元では行いません。仏壇か掛け軸の本尊に向かって読経します。

読経後には法話を行うのが通例ですが、蓮如の書簡である「御文章(ごぶんしょう)」(大谷派では御文〈おふみ〉)の読誦に代わることもあります。納棺は通夜の前後に行います。

○臨終~通夜

(1)枕経 本願寺派は「阿弥陀経」、大谷派は「正信偈」を読むのが一般的です。故人にではなく仏壇や掛け軸の本尊に向かって読経します。
(2)通夜 本願寺派で「阿弥陀経」、大谷派は「正信偈」を読み、念仏讃、和讃、回向と続きます
(3)納棺 「納棺尊号」という書きつけが棺の蓋の裏に貼られます

○葬儀式(本願寺派)

(1)出棺勤行 「帰三宝偈」のあとに「路念仏」が唱えられます。棺が葬場に移されたことを象徴的に表し、続いて葬場勤行に入ります
(2)三奉請 阿弥陀、釈迦、十方如来など諸仏を葬場に招きます
(3)正信偈、念仏、和讃
(4)焼香
(5)火屋勤行 火葬に先立って行われます。重誓偈などの偈文が読まれます
(6)拾骨 遺骨を拾う際に火屋勤行と同じく偈文、念仏、回向が唱えられます
(7)還骨勤行(かんこつごんぎょう) 遺骨が自宅に戻ると行われます。阿弥陀経、念仏、和讃、回向、最後に御文章が拝読されます。

○葬儀式(大谷派)

  • 葬儀式第一/棺前勤行
    (1)総礼 全員で合掌し、念仏を称えます
    (2)勧衆偈 人々に本願の信心をおこすよう勧める偈文が読まれます
    (3)短念仏十遍
    (4)回向
    (5)総礼
    (6)三匝鈴 葬列出発の用意を整え、三匝の鈴を小から大へ打ち出します
    (7)路念仏 葬列の際に詠唱するもので4句を一節とする独特の節回しの念仏です
  • 葬儀式第一/葬場勤行
    (8)三匝鈴
    (9)路念仏
    (10)導師焼香
    (11)表白 葬儀式の趣旨を簡略に述べる文が読まれます
    (12)三匝鈴
    (13)路念仏
    (14)弔辞
    (15)正信偈 「帰命無量寿如来」から始まる『教行信証』からの詩句を読み上げます
    (16)和讃
    (17)回向
    (18)総礼
  • 葬儀式第二
    (1)総礼
    (2)伽陀 導師の着座を告げる発声
    (3)勧衆偈
    (4)短念仏十遍
    (5)回向
    (6)総礼
    (7)三匝鈴
    (8)路念仏
    (9)三匝鈴
    (10)導師焼香 導師焼香の時に総礼をします
    (11)表白
    (12)三匝鈴
    (13)弔辞
    (14)正信偈
    (15)焼香
    (16)短念仏
    (17)三重念仏
    (18)和讃
    (19)回向
    (20)総礼
    以下、火葬に先立ち「火屋勤行」、火葬後の「拾骨」、遺骨が自宅に帰ってからの「還骨勤行」は本願寺派に準じます。