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曹洞宗のお葬式

曹洞宗の基本情報

開祖:道元(1200~1253)

本尊:釈迦牟尼仏

本尊・釈迦牟尼仏

本山・永平寺(福井)

・総持寺(神奈川県)

経典・『正法眼蔵』『修証義』『般若心経』『観音経』『大悲心陀羅尼』など

信者数・155万7604人(『宗教年鑑』文化庁編/平成24年版)

曹洞宗とは ~一仏両祖~

もともと曹洞宗は中国で起こった宗派です。臨済宗と同じで中国禅宗五家(曹洞、臨済、潙仰、雲門、法眼)の一つで、8世紀初めの中国の禅僧・洞山良价によって創宗されました。

日本における曹洞宗の開祖は道元です。

14歳で比叡山に上り天台教学を修め、18歳の時に建仁寺の栄西(日本臨済宗の開祖)を訪ね、24歳で宋に渡り、曹洞宗の禅師である天童如浄に師事し印可を受けました。28歳で帰国してからは、京都の宇治に興聖寺、越前に大佛寺(のちの永平寺)を開き、弟子の養成に当たりました。31歳から執筆に取り掛かった『正法眼蔵』は、53歳で息を引き取るまで継続して執筆され、なお未完だったとのことです。

そして、道元と並んで曹洞宗で重要な禅僧に第四祖の瑩山(1268-1325)がいます。

曹洞宗は黙照禅(ただひらすら坐禅に徹する)が特徴でしたが、瑩山は、密教的な加持や祈祷や祭礼などといった要素を取り込み、下級武士や商人などに禅を広げるなど、大衆教化にも努めました。さらにはそれまで否定的だった女性の住職登用も積極的に行いました。今日の曹洞宗の盛隆の素地を築いたのは瑩山だと言われており、そのため、「高祖道元」と並んで、「太祖瑩山」と仰がれています。

曹洞宗では現在でも二つの大本山があります。福井県の永平寺は道元が、神奈川県の総持寺(もとは石川県)は瑩山が開いた寺院です。現在でもそれぞれの住職が2年おきに管長(曹洞宗の代表)を務めています。

本尊の釈迦牟尼仏、そして道元と瑩山を、曹洞宗では「一仏両祖」として仰いでいます。

また、瑩山ら大衆教化の背景には、同じ禅宗の臨済宗が、鎌倉や室町幕府の中央政権ととの結びつきが強く、禅宗文化の大いに発展させるまでに時の権力者の庇護を受けていたという背景があります。曹洞宗は臨済宗とは対照的に、地方の豪族や一般民衆から帰依を受けました。現在でも全国に1万5千もの寺院を有しているのはそのためでもあります。

曹洞宗の教え

只管打座(しかんだざ)

只管打座とはただひたすら坐禅を行うという意味です。

禅宗にも中国や日本でさまざまな流儀があります。臨済宗の「看話禅」は公案(禅問答)が特徴でしたが、それらとは一線を画しています。

禅戒一如(ぜんかいいちにょ)

禅(坐禅)と戒(日常生活)は一つであるという意味です。

禅宗寺院での生活で重要なものに、坐禅と並んで作務があります。坐禅の精神によって日常生活を営むことが修行だと説かれているために、戒律の厳しい毎日の衣食住も、曹洞宗では重要視されています。

『正法眼蔵』(しょうぼうげんぞう)

『正法眼蔵』は道元が23年の歳月を費やして、未だ完成に至っていない仏教思想書です。現代においても和辻哲郎やハイデッガーなどの哲学者に高く評価されています。

釈迦から始まる歴代の祖師たちが受けついだ正しい教え(正法)を余すところなく収蔵しようとしたものです。そのため、漢字などではなく日本語かつ仮名分で著述されています。全87巻という膨大なものですが、本人は100巻を目指していたとのことです。釈迦に始まる仏教全体を総括しようとしているために、「禅」や「曹洞宗」に収まることのない仏教思想書として、日本最高峰のもの評されています。

そして何より、中国から伝わる禅宗の教示や伝授は「不立文字」(文字や経典に頼らない)と「師資相承」(師匠から弟子に直接的な教えの伝承)が基本であったため、経典を宗派の教えの拠り所とするのは他の禅宗と比べても一線を画しています。

曹洞宗の葬儀

曹洞宗の葬儀も、「授戒」と「引導」が中心となります。

(1)入堂
(2)剃髪 導師がかみそりを持ち「剃髪の偈」を唱えます
(3)懺悔文 生きている間に犯した罪を懺悔し、入滅を願います
(4)三帰戒文 仏法僧への帰依を誓います
(5)三聚浄戒、十重禁戒 酒水器の中の水を撒いて灌頂をします
(6)血脈授与 血脈を香に薫じて、霊前に置きます
(7)入龕諷経 本来は納棺時に読み上げる読経で、「大悲心陀羅尼」と「回向文」が唱えられます
(8)龕前念誦 本来は棺が閉じられるときに読み上げる読経で、「十仏名」と「回向文」が唱えられます
(9)挙龕念誦  出棺に際して「大悲心陀羅尼」と「回向文」が唱えられます。その際に鈸や太鼓が打ち鳴らされる鳴り物の儀式も行われます。
(10)引導法語 導師が松明(実際には松明を模した仏具)で円を描いて引導を渡します
(11)山頭念誦 本来は葬列で埋葬場に向かう際の儀礼でした。「修証義」が読み上げられます。
(12)焼香 焼香回数は2回です
告別式、出棺へと続きます。